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胆管狭窄の鑑別~IgG4関連硬化性胆管炎~

今日はIgG4関連硬化性胆管炎について,先輩が話してくれたのを引用してまとめます.

IgG4関連疾患,特に膵疾患についてはちょうど私が国家試験を受ける年くらいには一種の流行だったように思います.
日本人が発表したこともあって話題性が大きかったのでしょう,何問かは出題された記憶があります.

特定の膵病変,膵外病変にIgG4の高率な上昇がみられることが発表されたのが2002年,
その後,2006年にはAIPに伴う胆管狭窄病変はPSCと異なる病態であると発表.

関連疾患については他にも,唾液腺や肺病変・硬膜病変なども知られており,
いわば全身疾患なのです.

まず,IgG4関連硬化性胆管炎の特徴としては

  1. 胆管の硬化性変化
  2. 血中・組織中のIgG4高値
  3. 高率にAIPを合併(Mayo 92.5%)
  4. 高齢男性・ステロイド著効

です.やはりPSCは最終的には肝移植しかないのに対してステロイドが著効することが一番の差ですね.

次に胆管像にも特徴的な差があるといわれています.画像診断での鑑別です.
PSCの胆管像が肝内胆管における,多様性で,ある程度細かい狭窄と拡張を繰り返す所見であるのに対し,

IgG4関連硬化性胆管炎の胆管像

  • 3㎜≦の長い狭窄
  • 10㎜≦の長い狭窄と末梢胆管の拡張
  • 下部総胆管の狭窄

で示される特徴があります.
PSCとIgG4胆管像

それを踏まえると,CTの特徴は
肝門部に及ぶ平滑な壁肥厚,遅延相での均一な造影効果が挙げられます.
つまり,平滑な壁肥厚が長軸方向に長く認められる場合はPSCよりIgG4関連硬化性胆管炎が疑われるとのことです.

これで画像的にある程度の判断はできそうですが,やはり画像診断にはERCPが必要ですね…MRCPなどの所見はまだ不明瞭です.
IDUS像などでも対称性で平滑な胆管が特徴的で胆管癌などとは鑑別できるようです.

そして血中IgG4値による診断能です.
IgG4上昇は80%以上の症例で上昇を認め,平均500mg/dl程度と高値です.

一方でPSCや胆管癌などの鑑別疾患でも10%前後に認められ,これだけでは確定診断とはなりません.
が,他疾患の多くは正常の2-3倍の上昇程度であり,それ以上の上昇ではIgG4関連胆管炎が強く疑われるようです.

いずれにせよ以上のような所見を総合的に判断し,鑑別する必要があるようです.

個人的な意見としては,これまでの患者さんをみるに,ステロイドの診断的治療が最終的には最も鑑別に寄与するような気もするのですが…

最後に診断基準2012をまとめておきます.

【臨床診断基準】
A.診断項目

  1. 胆道画像検査にて肝内・外胆管に特徴的な狭窄・壁肥厚像を認める
  2. 血中IgG4≧135mg/dlを認める
  3. 自己免疫性膵炎・涙腺唾液腺炎・後腹膜線維症のいずれかをみとめる
  4. 胆管壁に病理学的所見を認める
    ①高度なリンパ球・形質細胞浸潤
    ②10個のIgG4陽性形質細胞/強拡大1視野
    ③花苑状線維化
    ④閉塞性静脈炎

※オプション→胆管・膵癌を否定後に診断的治療を行うことができる.

B.診断
 Ⅰ:確診;1+3,1+2+4①②,4①②③,4①②④
 Ⅱ:準確診;1+2+オプション
 Ⅲ:疑診;1+2

※悪性疾患,PSCや明らかな2次性硬化性胆管炎を除外すること.

以上です.説明のつかない病変が現れたときはその他膠原病と同様,IgG4関連疾患を鑑別に挙げる必要がありますね!

では,今日はこのあたりで…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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