御無沙汰しています.そろそろ涼しくなってきましたがみなさん如何お過ごしでしょうか?今日は内視鏡時の鎮静についてお話したいと思います.
皆さんの施設ではどのように鎮静をお使いになっていますか?
ウチの病院では一般内視鏡検査ではミダゾラムを,長期にわたる検査の場合は+プロポフォールを使用しております.
そこで各々の鎮静剤について少し詳しいお話をしたいと思います.
ミダゾラム(ドルミカム)
薬種
ベンゾジアゼピン系
作用機序
GABA受容体を賦活することで鎮静を得る
使用量
体重別に使い分け.1-4㎎ボーラス投与.
禁忌
緑内障,重症筋無力症,HIV,アルコール中毒
注意
心疾患,肝障害,腎障害,長期ミダゾラム投与者(てんかんなど)
特徴
- アルコールとの交差耐性あり
- 肝代謝であり,肝不全では遷延.
- 半減期は30分程度
- 健忘作用あり
などです.健忘作用は患者さんはかなりの頻度で検査のことを覚えていませんし,アルコール多飲者は全くもって鎮静が効かず,苦労することが多いですね.
プロポフォール
薬種
静脈麻酔薬.少量で鎮静,大量で麻酔
使用量
導入:0.4-0.8㎎/kg(50kgなら2-4ml程度)
持続:1-4㎎/kg/h(50kgなら5-20ml)
禁忌
卵・大豆油への過敏症
特徴
- 肝代謝だが腎や肺にも代謝酵素が含まれており,肝疾患でも使いやすい.
- 半減期が約5分と短かく覚醒が早い.
- 麻酔薬であり,添付文書では麻酔医もしくは習熟した医師の使用が必要とのこと.
- 拮抗薬がない,血圧低下,薬価がミダゾラムの10倍
プロポフォールを使用していて思うのは,
・呼吸状態の一過性の悪化が多い
・ミダゾラムが効かない人でもすぐに落ちる
・稀にこちらにも耐性がある人がいる…
等です.重大な副作用などは起こらない様な気もしますが…
挿管はすぐに出来るようにしておくべきでしょうが,半減期5分なので使いやすいと思われます.ESDなど時間のかかる手技にはうってつけでしょう!
またBISモニター(脳波から算出されるBIS値による鎮静の数値化)などが手術室などでは用いられています.
100:覚醒
90:中等度~浅鎮静
70:深鎮静~浅鎮静
60:適切な鎮静
40:深い鎮静
50-80を目標にするとよいみたいですが,効果なのでよほどの病院でない限り,内視鏡室への導入は難しいでしょう(笑).
実際内視鏡時の鎮静についてはガイドラインでも取沙汰されています.プロポフォールが適用となればいいのですが…
またデグスメデトミン(プレセデックス)などもあります.こちらは鎮痛・鎮静両作用を持ち,呼吸抑制も少ないですが現在は人工呼吸及び離脱後の鎮静のみにしか適応がありません.
患者さんとも相談して,金銭面のことも考えた上で使いやすい鎮静を使うのが良いと思いますが…
今日はこの辺で(^^)
あと”なんじゃこりゃ”面白いですね,読み返しています.参考までに…
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コメント2 comments
うちはミダゾラム(+ペチジンもしくはペンタゾシン)、場合によってプロポがほとんど。やっぱり鎮痛を併用すると患者の負担が少ない印象です。
7月の記事のFNAの結果はどうだったの?
コメントありがとうございます。
FNAは残念ながら確定診断に至らず、現在も画像フォロー中です。
また結果が出ればお知らせします!!