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直腸・肛門部悪性黒色腫について

今日はたまに内視鏡をしていて見られる悪性黒色腫についてです.

実際に自分で検査していて観察したのは3例程度ですが,印象的ですね!

悪性黒色腫

定義

皮膚の色素細胞(メラノサイト)あるいは母斑細胞から発生する悪性度の高い腫瘍.
転移能が高く,予後不良な腫瘍.
原発は皮膚以外では希に脳・眼窩・口腔・肺・消化管・外陰部などの粘膜にも発生.
消化管においては直腸・肛門部と食道に好発する.

直腸悪性黒色腫

直腸肛門移行部に存在するメラノサイトより発生.

原因
  • 同部が外胚葉と内胚葉の接合部で発生学的に不安定である
  • 排便による慢性刺激に晒される
疫学
  • 全悪性黒色腫の0.4-1.6%
  • 直腸肛門部悪性腫瘍の0.38-1%
  • 後発年齢は50-70歳
  • 女性が男性の2倍の頻度
  • 特徴的な症状に乏しく,早期診断が困難
予後
  • 早期にリンパ節・血行性転移を来たし予後は極めて不良
  • 5年生存率は4.6-15%と低値
  • 生存期間中央値は8-25ヶ月
診断

生検
皮膚科領域では転移を促進するため生検は禁忌とされていたこともあるが,げんじあでは皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインにおいて,部分生検により,局所再発率やセンチネルリンパ節転移の陽性率が有意に上昇する証拠はないため,全生検が不可能な場合は部分生検が可能.

免疫染色
メラニン染色,S-100蛋白,HMB45などの免疫組織染色が診断に有用.

※10-30%にamelanotic melanoma(無色素性黒色腫)がある.

治療

基本は外科切除

  • 切除範囲やリンパ節郭清に関する標準的な術式は確立されていない
  • 欧米ではStageⅠ・Ⅱには局所切除の選択も多い(局所切除と腹会陰式直腸切除では予後に差がないとの報告が多い)
  • 本邦では腫瘍径5cm未満,壁深達度が固有筋層以内の症例に対して腹会陰式直腸切断術を施行した場合は長期予後が期待できるとする報告もあり,推奨する傾向がある.
  • 側方リンパ節郭清の意義は確立されていない.

化学療法

  • DAVferon療法(DTIC・ACNU・VCU・IFN-β)
  • CDV療法(CDDP・DTIC・VDS)
  • DAC-Tam療法(DTIC・CDDP・ACNU・Tamoxifen)

奏功率は30%前後とのことです…

かなり悪性度の高い腫瘍なのでできる限りの早期発見,治療が求められるでしょう.好発部位もしっかりと直腸で反転観察しなければ観察できない部位なので,ルーチン検査からの詳細な観察が求められるでしょう.
こういったレアな症例は一度観察することで診断の幅が広がると思います.
今日はこの辺で…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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