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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のフォローについて~新IPMNコンセンサスガイドラインを踏まえて~

こんにちは!台風で午前中は豪雨でしたが少しずつ落ち着いてきていますね,目に入ったのでしょうか?
今日は2013年にも書いたIPMNのフォローについて次回ガイドラインに盛り込まれそうな内容を踏まえ書いてみたいと思います..

分類

・主膵管型:他の原因がなく5㎜を超える部分的あるいはびまん性の主膵管拡張が見られるもの.
・分子型:主膵管径5㎜以下で,主膵管と交通を有する5㎜を超える拡張分枝が見られるもの
・混合型:主膵管型と分子型の双方の基準に合致する病変.

新たに規定された因子

悪性の定義

Carcinoma in situ(CIS)→high grade dysplasia(HGD)と定義

HRS(High-risk stigmata):悪性を強く示す所見
① 閉塞性黄疸を伴う膵頭部嚢胞性病変
② 造影される嚢胞内の充実性成分
③ 主膵管径≧10㎜

WF(Worrisome features):悪性の疑いを示す所見
① 膵炎症状
② 嚢胞径≧30㎜
③ 肥厚し造影される嚢胞壁
④ 造影効果のない壁在結節
⑤ 尾側に閉塞性膵炎を伴う主膵管狭窄
⑥ リンパ節腫大

新たに規定されたHRSとWFによってIPMNの診療方針を選択することが推奨されている.

癌化(IPMC)の頻度と分枝型の治療選択

主膵管型

・平均61.6%
・浸潤癌に限っても43.1%

分枝型

・25.5%,浸潤癌は17.7%が癌化
・年率にすると2-3%と言われている.
※これまでは65歳未満の若年者では嚢胞径20㎜以上であれば切除を考慮となっていた.
・その後大規模に経過観察された分枝型の悪性化リスクは
2207例:41ヶ月:切除229(10.4%):悪性49(2.2%)

こういったデータが提示されていることから手術適応については慎重な検討が必要になると考えられる.

分枝型の手術適応

GL2006では嚢胞径を重視した作りになっていたが,これは国際的に使いやすくするためであった.
30㎜以上でも壁在結節や隔壁肥厚などの所見がない→悪性兆候のない嚢胞径30㎜を全て直ちに切除すべきではない.

通常型膵癌,多臓器癌の合併頻度

・IPMNをフォローする上で最も気を配らなければならない因子が通常型膵癌の合併!!
・2390例:105(4.4%)→全体では1.4-9.3%とされている.

・また年率1.3%程度で多臓器癌の合併の可能性があるともされている.

鑑別診断

・MD→慢性膵炎
・BD→MCN
・SCN
・類上皮嚢胞
・リンパ上皮性嚢胞
・仮性膿疱
・その他充実性腫瘍の嚢胞化病変
などが挙げられる.

リスク因子別(術後含む)フォローについて(一案)

・HRS(-)→6か月おき
・HRS(+)→4か月おき
術後症例
・IPMC切除後断端陰性例→2-5年
・LGD,MGD(+)→6ヶ月おき
・HGD(+),IPMC術後症例→4ヶ月おき
・併存膵癌(+)症例→3か月おき

当院においても患者様の承諾が得られれば綿密な経過観察にて経過を追うことにしています.モダリティについては諸説ありますが,当院ではコンベックス型EUSにて全膵スクリーニングおよび必要があればソナゾイド造影を中心に,一定期間ごとにCT,MRIを使用してフォローすることにしています.
この辺りについてはご意見頂ければ幸いです.

今後の展望

① Intestinal type(腸型)について
粘液癌へ進展することが多く,予後は比較的良いとされている.
一方で胆膵型・胃型については予後不良であり通常型膵癌と予後は変わらない.
・腸型については免疫染色にてMUC2(+),CDX2(+)

② 術前診断へのK-ras,G-nasの導入
③ 術中細胞診の重要性
④ 膵液中CEAでの悪性判定基準
など話題は尽きませんが,一例一例しっかりとしたフォローアップと症例の集積をしていきたいと思っています.今日はこの辺りで…

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コメント3 comments

  1. 西田

    早く次のをおくれ〜

  2. ryo

    コメントありがとうございます!
    何とか週に1・2件は更新していこうと思っていますのでよろしくお願いします.

  3. ゆう

    わかりやすくて助かりました。

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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