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胃粘膜下異所性胃腺について

本日は先輩医師が先日でくわした疾患について書きます.

胃粘膜下異所性胃腺(submucosal heterotopic gastric gland)について

概念

1947年にScottらにより報告された疾患概念,粘膜固有層にあるべき胃腺組織が粘膜下に認められる.
びまん性胃粘膜下異所腺(DCM:Diffuse cystic malformation),GCP:Gastritis cystica profundaなどの概念もあるが明確な定義分けはされていない.

疫学

原因

・先天説:先天的に腺組織が粘膜下層に迷入する
・後天説:慢性胃炎の繰り返しの結果生じる. 
✩現在は後天説が指示されている.

頻度

切除胃の2.3-10.7%との報告がある.
中高年の男性に好発すると言われている.

検査所見

内視鏡所見

・病変が小さい→発赤,びらん様,粘膜下腫瘍病変として認められることもある.
・病変が大きい→中心陥凹や潰瘍形成を伴う粘膜下腫瘍として認められる.
穹窿部~胃体部に多い

超音波内視鏡所見

第2-3層を中心に低エコー域を認める.

病理所見

・粘膜下層以深に胃腺組織の増生が見られ,腺の嚢胞状拡張を認める.
・多くの場合,背景粘膜に慢性胃炎・萎縮・腸上皮化生を伴う.
・よって粘膜表面のびらんや再生性変化,粘膜金版の肥厚・断裂などが見られ粘膜筋板の裂隙を通じ,粘膜固有腺と異所腺との連続性を認めることが多い.

癌の合併

ここが一番気になるところです!!

発癌の特徴

・多発性・びまん性の場合は胃癌合併の頻度が高く,多発癌の報告もある.
・粘膜下異所性腺管そのものが癌化することは稀であり,前癌病変(precancerous lision)というよりparacancerous lesionと考えられている.

・異所性胃腺に癌を合併した場合は,進達度診断が困難となる場合がある.
・占拠部位はM領域が多い.
・組織型としては分化型(84%)が多く,早期癌(75%)が多いとの報告がある.
・異所性胃腺に沿って粘膜筋板を超えて粘膜下層に浸潤しやすい可能性も指摘されている.

最後に…

GCP:Gastritis cystica profunda

・残胃吻合部のポリープ状粘膜として1972年んじLitterらが報告
・BillrothⅡ法再建後の吻合部近傍に出来ることが多く,縫合や十二指腸液の逆流による炎症が原因と推測されている.
・内視鏡下生検の検討で,術後20年以上経過したBillrothⅡ法再建例ではGCPを67%に認めたとの報告もある.
・GCPに残胃癌が併発しやすいことが知られており,3-5倍との報告もある.

感想

粘膜下腫瘍様の形態に加え,中心陥凹や潰瘍性変化を示す胃病変としては
・GIST
・筋原性・神経原性腫瘍(平滑筋肉腫・神経症腫など)
・胃カルチノイド
・迷入膵
・悪性リンパ腫
・炎症性線維性ポリープ
・胃癌
・転移性腫瘍
・胃サルコイドーシス
・胃グロムス腫瘍

などが考えられます.EUSや発生部位,生検(うまく採取できれば)などで鑑別するしかないでしょう.
サイズや経過,年齢なども考慮し確定診断が必要な場合に限りEUS-FNAなども有用ですが悪性であった場合,seedingの可能性も否定できないため慎重な取り扱いとムンテラが必要でしょう.
鑑別という点では粘膜下腫瘍は面白いですね.
FNAの適応がもっと広がっていけば,無駄な手術を省くこともできるでしょうね,問題点は多くありますが…

では今日はこのあたりで…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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