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大腸内視鏡治療にクリップは必要か?~大腸内視鏡治療における後出血~

こんにちは.本日は日々行っているEMRなどの後のクリッピングについて書いてみます.
かけると安心感はあるけれど果たして本当に必要であるのか?は疑問なところです.
これについていくつか論文を紹介しながら書いていこうと思います.

偶発症とその頻度

近年大腸内視鏡技術の進歩により,治療の件数は飛躍的に増加している.LSTや広基性隆起性病変においても治療がなされる一方で偶発症の発生数は増加傾向にある.
主な偶発症としては後出血・穿孔があり,後出血の頻度は1.3-1.4%と報告されている.

後出血に関与する因子の検討

方法

Hot biopsy,Polypectomy,EMRを施行した14,381例中出血を認めた.
出血群:40例中34例(※基礎疾患で出血リスクが高い症例や抗凝固薬の中止不足などを除いた症例)
非出血群:年齢性別などを一致させて無作為に選出した136例を対象とした単変量解析.

結果

・Ⅰp型病変
・腫瘍径の大きい病変(多変量解析でも同様)
・A/Cの病変
・EMRを行った病変

(K.Beppu et al:Gastroenterological Endoscopy Vol.48:2006)

早期後出血に対する検討

方法

内視鏡的大腸ポリープ切除術の翌日にCSにて切除潰瘍を確認した
308病変の出血の有無,出血痕の有無
クリップ残存数,切除方法,腫瘍径の大きさ,切除時の出血の有無,組織型などでの解析.

結果

臨床的血便はなかったものの,CSでは2.9%に出血,12.7%に出血痕を認めた.クリップ残存率は87%であった.また早期出血の危険因子としては

・Hot biopsy
・10mm以上の病変
・EMR時に出血があったもの
・クリップ脱落症例
・分割切除

が挙がったようです.やはり少しは出血しているものなんですね…
(T.Tuji et al:Gastroenterological Endoscopy Vol.50:2008)

他にも以下のような検討があります.

方法

後出血の危険因子および後出血予防処置としてのクリッピングの有効性を検討.
1049病変の内視鏡的大腸ポリープ切除術についての解析.
病変部位,サイズ,形態,切除方法,組織型,クリップの有無.

結果

1049例中,出血は26病変,2.5%

危険因子は

・左側結腸
・15mm以上
・形態は広基性,もしくは10mm以上の有茎性
・分割切除
・腺癌

が挙がったようです.クリップの有効性については謎のまま…
(M.Hukuda et al:Medical online 内視鏡的大腸ポリープ切除術における後出血例の危険因子についての検討)

そして最近見かけたのがこれです.

大腸EMRにおけるクリップ縫縮の止血効果について

方法

400例でのclip群,Non-clip群でのEMR後出血との関連性の検討.

結果

後出血はclip群に1.0%,Non-clip群に2.1%と有意差なし(p=0.27)
危険因子としては

・糖尿病
・抗凝固薬
・Ⅰp型

などが有意な関連性があったとの報告です.

✩この論文ではEMR後のクリップ縫縮は出血に影響を与えない可能性があるとの結論でした.
(N.Tominaga et al:Gastroenterological Endoscopy Vol.56:2014)
また少し昔の論文では検討数は少ないですが,クリップの有用性を支持するものもありました.

まとめ

そんなに論文数が多いわけではありませんが

危険因子

・10-15mm以上のサイズの病変
・広基性もしくはⅠpの形態をとる
・分割切除
・処置時に出血を伴った病変
・基礎疾患
・抗凝固薬投与

などは共通した危険因子と言えそうです.これらの危険因子を伴う症例は少し厳重注意が必要そうです.
クリップについては一定の見解は出ていないようですが…
個人的にはやはり小サイズのものでEMR時に出血を伴わないものは医療費削減の意味でもクリップの必要はないように思われます.
逆に切除径が大きく,露出面が大きかったり,切除時の出血・露出血管を伴う例などは確実にクリップが必要であると考えます.
その他症例はグレーゾーンといったところでしょうか.
またESD後についても
筋層露出や露出血管はもちろん縫縮,消化液への露出が多い部分(前庭部など)もクリップが必要なのではないでしょうか.あくまで私見ですが…

ご意見お待ちしております.今日はこのあたりで…
(画像はd.hatena.ne.jp より拝借)

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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