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膵嚢胞性腫瘍の鑑別について~partⅡ SPN,ITPN,NET~

そういえば膵嚢胞性腫瘍の続きを書いていなかったのでupします.
本稿については

充実性偽乳頭腫瘍(SPN:solid pseudopapillary neoplasm)
膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN:intraductal tubulopapillary neoplasm)
膵内分泌腫瘍(PNET:pancreatic neuroendocrine tumors)

についてですが,前回と違い個々の鑑別というより特徴を述べることとします.

SPN

疫学

・膵外分泌腫瘍の0.9-2.7%,嚢胞性疾患の5%
・年齢:平均28歳
・性別:生殖年齢の女性が90%
・発生部位:有意差なし

病理学的特徴

・腺房細胞由来の嚢胞性腫瘍.10㎝前後と比較的大きい嚢胞を呈する.
・線維性偽被膜の中に充実性の部分と出血,泥状の液体貯留の生じた偽嚢胞部分が混在する.
・壁内石灰化を30%に認める.

画像所見

・CT:造影CTで境界明瞭な球形の腫瘤.内部は充実性+嚢胞性分が種々の程度で混在しており,血流については様々であるが腫瘍濃染には乏しい.
・EUS:薄い皮膜と充実性部分と嚢胞性部分の混在.被膜部に石灰化を認める.

鑑別

膵仮性嚢胞・内分泌腫瘍・膵腺房腫瘍

治療

・外科手術.転移例は10%前後.

ITPN

疫学

・膵外分泌腫瘍の0.9%

特徴

・2010年WHO分類で初めて登場.膵管内に管状乳頭状を呈して増殖する病変.
・一部に異型が強く,壊死を伴うが粘液を認めない.
・浸潤性増殖と転移が特徴
IPMNの亜型と考えられているが,IPMNに多い,MUC5ACやKRAS変異は陰性.

画像所見

・CT:膵管内を占拠するiso-low density massを示す.時に浸潤や肝転移を認める.
・ERP,MRCP:充実性腫瘍が拡張膵管にはまり込むため,カニの爪状の陰影欠損を示す.ブドウの房様にはならない

鑑別

膵管癌,膵管内乳頭粘液性腫瘍,膵腺房細胞腫瘍

治療

・外科手術.浸潤あれば全膵切除.

NET

疫学

・膵腫瘍全体の2%前後

特徴

・膵および十二指腸の構成細胞を起源とする神経内分泌腫瘍.
・腫瘍化した際には通常1つのホルモンが多量に産生される.ホルモンにより様々な臨床症状
・ホルモン産生のある機能性腫瘍と,ない非機能性腫瘍があり,非機能性腫瘍が15-40%に認められる.
・機能性腫瘍は10%にMEN-1型を合併する.
・全体としては20%に遠隔転移(2㎝超で頻度が高い)を認める.
・WHO分類ではKi-67 indexにより
①<2高分化型内分泌腫瘍 ②2-20で高分化型内分泌癌 ③>20で低分化型内分泌癌に分類.

画像所見

・CT:通常は造影早期で強く造影される.但し,内部壊死・出血などの変化をきたす場合,造影効果に変化を認める場合もあり注意が必要.MDCTが診断に有用.
・EUS:境界明瞭で被膜構造を有する低エコー腫瘤で増大すると内部に高・無エコー成分を混在. FNAの有用性が示唆されている.

鑑別

浸潤性膵管癌,膵腺房細胞癌,充実性偽乳頭腫瘍

治療

・外科手術.5年生存率は70%程度.
・遠隔転移例には化学療法+オクトレオチド

内分泌腫瘍は比較的よく遭遇しますが,前2者は直接見たことはないですね…
さらに研鑽を積んでいきたいと思います.今日はこの辺で…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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