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大腸ESD/EMRガイドラインまとめ(日本消化器内視鏡学会誌2014.4より)

お久しぶりです.今日は先輩医師との会話の中で気になったガイドラインについて.全文ではなく重要なところのみをピックアップしていますので,詳しく見たい方は本書の方をどうぞ♪

背景

ESDの有効性と安全性が認められ,2012年4月にてESD(20-50mm)が保険適用となり,大腸腫瘍に対する内視鏡治療手技の選択肢が広がり,早期癌の完全一括切除が可能になった.

大腸ESDは,手技的難易度が高く穿孔などの偶発症を未然に予防することが重要.また治療の適応となる上皮性腫瘍は早期癌以外にも存在するため,術前の精密診断による病変の評価が必要.
✩この領域のレベルの高いエビデンスは少なく,専門家のコンセンサスを重視した作りになっている.

適応

(エビデンスⅣb・推奨度B)

①早期大腸癌と診断された時点で内視鏡もしくは外科治療が推奨される

・外科治療5生率→stage0:94.3%,1:90.6%,内視鏡治療は根治度92.7%

②十分なIC(リスク-ベネフィットを含む)

適応病変

(エビデンスⅣb・推奨度B)

①癌を疑わない病変

径6mm以上の腺腫は切除が薦められる.
表面陥凹型腫瘍は径5mm以下でも切除が薦められる:一定の担癌率・SM癌も存在することから
・遠位大腸に存在する径5mm以下の典型的な過形成性ポリープは放置可能である.
→遺伝子病理学的検討によると,大腸癌の一部はserrated pathwayを経て発癌すると想定されており,SSA/Pを有する患者は大腸癌の高リスクと言われているが,どのくらいの頻度や速度で癌化するのかはデータに乏しい.大きい・異型を有するSSA/Pはmalignat potentialがあると判断するが,上記の病変については癌化可能性が極めて低い.

②癌を疑う病変

・早期大腸癌のうちリンパ節転移の可能性が極めて低く,病巣が一括切除でき根治が期待される病変については原則的に内視鏡治療を行う.
明らかなcT1b(SM1000μm以深)は原則的に外科手術を行う.
・SM浸潤の可能性を確実に否定できる場合は分割切除も容認される.

術前診断(質的診断)

(エビデンスⅣb・推奨度B)

①質的診断に画像強調・拡大観察を用いることで診断精度が上がる.

・腫瘍非腫瘍の鑑別において
色素内視鏡通常観察の正診率80%/pit pattern観察96-98%/NBI/BLI拡大観察95%
腺腫と癌の鑑別pit pattern観察70-90%

②生検については必要最小限にとどめる

(エビデンスⅤ・推奨度C1).

術前診断(深達度診断)

(エビデンスⅣb・推奨度B)

①早期大腸癌では内視鏡治療を施行前にSM浸潤程度の予測が必要

深い陥凹・緊満感・粘膜下腫瘍様の辺縁所見・進展不良のいずれかでSM深部浸潤
→正診率70-80%
・pit patternⅤN型を認める場合→正診率90%.

手技

①ESD/EMRの定義(補足)

・ナイフあるいはスネア先端で周囲切開後,粘膜剥離を全く行わずスネア→precutting EMR
・上記に粘膜剥離を加え,最終的にスネア→hybrid ESDと定義する.

②Non-lifting signを呈する病変に対する内視鏡治療

(エビデンスⅢ・推奨度B)
・陽性であっても粘膜内腫瘍の可能性がある.内視鏡的に粘膜内腫瘍と判断できれば適応となる.
 Non-lifting sign のSM高度浸潤に対する診断能は正診率94.8%
 通常内視鏡の正診率は97.4%とのデータもあり,Non-lifting signよりも術前観察を優先する.

偶発症

(ポリペクトミー/EMR/ESD:穿孔0.05/0.58-0.8/2-14,出血1.6/1.1-1.7/0.7-2.2%)

①穿孔への対応

(エビデンスⅣb・推奨度B)
・治療中穿孔を来たした場合,可能な限りクリッピングを試みる
 完全縫縮であれば,抗生剤投与と絶飲食により手術を回避できる.
・穿孔後のfree airの有無は手術を決定する指標にならない.

②出血への対応

(エビデンスⅣb・推奨度B)

・クリッピングや凝固止血による対応が可能.
 予防的クリッピングによる止血効果
→平均径7.8mmの病変ランダム化比較試験では有意差なし.
→2cm超の病変クリップ施行群1.8%/非施行群9.7%のデータも
大型病変,抗血栓治療中の出血高危険度群に対しては術後のクリッピングはある程度有効である.

周術期管理

(エビデンスⅣb・推奨度B)
・内視鏡治療後の周術期管理は遅発性穿孔・後出血に留意し,必要に応じて入院管理とする
遅発穿孔:2/3が24h以内.ESDでは0.1-0.4%の頻度
後出血:Hb2以上の低下/顕性出血を認めたものと定義.EMRで1.4-1.7%,ESDで1.5-2.8%,
※下部直腸→骨盤腔への穿孔となり縦隔気腫・皮下気腫.稀に劇症型壊死性筋膜炎(フルニエ症候群)を合併し,死亡率は20-40%となる.

根治性判定

(エビデンスⅣb・推奨度B)

根治性は局所因子とリンパ節・遠隔転移リスク因子で評価される
・Tis(M癌)→リンパ節や他臓器への転移の可能性は皆無.
・T1(SM癌)→①垂直断端陰性②乳頭腺癌/管状腺癌③SM浸潤1000μm未満
④脈管侵襲陰性⑤簇出Grade1の全て
の項目を満たした場合根治と判断.

※ひとつでも満たさない→病変の予測リンパ節転移率・患者背景を総合的に評価して追加治療.
※SM浸潤距離のみが根治基準を満たさない場合,リンパ節転移は極めて稀との報告もある.

術後経過観察

(エビデンスⅣb・推奨度B)

①局所遺残・再発

・腺腫またはM癌において内視鏡的根治度の評価が正確に行えなかった場合6ヶ月後にCFを行う.
分割切除後の再発は6ヶ月で18.4%,1年で23.1%

②異時性病変

・明確な検査間隔は確立していないが少なくとも内視鏡治療後3年以内にCFを施行する.
・他施設の遡及的検討では異時性に発見された径10mm以上の腺腫癌の51%が3年以内にさらに7例のT1癌が1年以内に発見されている.(見逃しが含まれる)
・早期大腸癌の内視鏡治療において異時性多発癌は3.4-26.5%に認められ,発見までの平均観察期間は25.6-102.8ヶ月と報告されている.
・3個以上多発する大腸腺腫・径10mm以上の病変・villous成分を伴う腺腫・high grade dysplasiaのいずれかを認めた場合3年後に
・10個以上では3年以内のCFが必要.

ガイドラインに沿って治療するのはもちろん必要なことですが,まだ症例集積が必要な分野も多々残されていますね.個人的には大腸ESD後の縫縮などは絶対したほうがいいと思うのですが!
今日はこのあたりで…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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