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胃腺腫と超高分化型腺癌の鑑別は可能なのか!?

今回はいつも拡大内視鏡研究会にて議論が交わされている,胃腺腫と高分化型腺癌との鑑別に関する話を勉強させて頂いた論文を参考にして… 
Gastroenterological Endscopy;55,Jul.2013より一部抜粋.

背景

・胃腺腫と高分化型腺癌を内視鏡的に識別することは非常に困難である.
・胃腺腫の大半は長期経過観察においても増大・成長することなく臨床的に経過観察されることも多い.
・現在一般的には胃腺腫あるいはGroupⅢと診断される病変のうち
①サイズが大きいもの.主に2cm以上
発赤を有するもの
陥凹成分や丈の高い成分を有するものなどは悪性の可能性が高いとされている.

しかしながら通常観察のみで鑑別は困難,生検にしても場所により診断が変わる,病理医間でも両者の鑑別はしばしば困難であるなどの難点がある.
これを解決すべく,NBI併用拡大内視鏡観察にて行う試みが行われており,NonakaらはType分類と称し述べている.

方法

・通常内視鏡観察において胃腺腫が疑われる病変,生検でgroupⅢのType分類可能な病変93例病変が対象.
・GIF-Q240Zでの観察.

Type分類

粘膜微細構造:明瞭・軽度消失・高度消失
微小血管:明瞭・不明瞭・異常の3段階にそれぞれ分類し,その複合所見から5つのtypeに分類

Type②

TypeⅠ:粘膜構造:明瞭,微小血管:不明瞭
TypeⅡ:粘膜構造:明瞭,微小血管:明瞭
TypeⅢ:粘膜構造:明瞭,微小血管:異常
TypeⅣ:粘膜構造:軽度消失,微小血管:異常
TypeⅤ:粘膜構造:高度消失,微小血管:異常

病変は全体を観察し,Type分類が部位によって異なる場合段階が高いものを採用.

結果

サイズ,症例数

TypeⅠ:14.8mm/16例,Ⅱ:10.4mm/12例,Ⅲ:14.6mm/29例,Ⅳ:18.2mm/27例,Ⅴ:21.7mm/3例
術前生検と切除標本の病理診断一致率は43.5%と低値.

TypeⅠ/Ⅱ:腺腫が81/75%
TypeⅢ/Ⅳ/Ⅴ:高分化型腺癌が86/100/100%
故に
TypeⅠ・Ⅱを術前に腺腫と診断した場合,正診率は79%
TypeⅢ-Ⅴを高分化型腺癌と診断した場合の正診率は93%
であり,生検の正診率と比べても有用である.

※TypeⅠで高分化型腺癌は3/16であり,肉眼型はいずれもⅡa,サイズは7/12/12mmと比較的小サイズであった.
※TypeⅡで高分化型腺癌は3/12であり,肉眼型はいずれもⅡa,サイズは6/13/23mmと比較的小サイズであった.
※分類不能の6例はいずれもⅡa+Ⅱcであり5/6が高文化型腺癌であった.
NBI所見としては粘膜構造は小型の腺構造が密に存在し,微小血管は点状または不明瞭であった.

まとめ

・粘膜微細構造の消失傾向を示すⅣ・Ⅴの症例は病理学的に腺の丈が低い傾向にあると報告されており,これがNBI所見としての腺構造の消失の一因と考えられる.
しかしながら病理所見上では丈の高さは変わらないが,NBI所見上は粘膜微細構造の消失傾向の有無が分かれる症例も少数ながらある.
・今回の結果を受け,TypeⅣ・Ⅴについては客観的な線引きができにくいことなどから一括でTypeⅣとされた.
・分類不能であった6例は肉眼形態で陥凹があること,NBI所見として粘膜微細構造で小型腺管が密に存在し,微小血管については点状または不明瞭であったが病理においてはfine network patternを形成していたことからも,今まで言われている陥凹型胃腺腫には悪性が多い所見とも矛盾しなかった.
・腺構造がsmallであることからⅢ型の亜型と考え,TypeⅢsと分類.

Type分類②

今後

〇TypeⅠ/Ⅱ⇒現時点で全てが腺腫と決定づけることはできないが80%程度の確率で良悪性が鑑別できる.総合的な判断が必要.

〇TypeⅢ/Ⅲs⇒特にⅢsに関しては悪性の可能性が高い.高分化腺癌と判断して良い
〇TypeⅣ⇒腺構造消失,微小血管構造異常.ほぼ100%高分化腺癌

✩この分類はわかりやすく,所見のよみ方にも大きく差はでないという意味では非常に有用なものだと感じましたし,実際臨床でも使わせて頂いています.
今後更に症例を集積し,TypeⅠ/Ⅱなどの改善点も含め精度が上がっていくことを願います.
今日はこの辺で…

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コメント4 comments

  1. Spooky

    拡大内視鏡を専門としている医師です。腺腫と超高分化型腺癌の鑑別について論文検索しているうちに、たどり着きました。野中先生の論文を参考に私も腺腫の診断をしています。大変わかりやすいですよね!たぶんTypeⅣ、Ⅴで現れるようなNBI所見は腺窩が浅く、その腺密度が上昇しているが故なのかな、と理解していました。

    他の記事も大変興味深いテーマを取り上げておられ、本当に感心しました。
    また、たびたび拝見させて頂きます。

  2. ryo

    ありがとうございます.
    最近少し忙しくUPできていなかったのですが,また消化器病全般について書いていきたいと思いますのでご意見いただければ幸いです.
    これからもよろしくお願いします.
    ryo

  3. Nonaka

    Ryo先生
    はじめまして
    私の論文を読んで、実際に使用して頂いているとのことで本当にありがとうございます。
    今中国にNBI,ESDの指導に来ているのですが、論文を見せようと探していたところ先生のサイトにたどり着きました。
    先生のわかりやすい突然いうありがたいお言葉を励みにまた頑張ります。
    学会場等で気軽にお声をかけて頂ければ幸いです。
    野中康一

  4. ryo

    コメントありがとうございます.紹介させて頂けてよかったです.
    これからも管系だけではなく色々な記事をupしていきますので,お暇があれば
    立ち寄ってください.
    学会でお見かけしたらお声かけさせて頂きます.

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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