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現在の膵癌化学療法のスタンダードについて~panc-bil meetingを踏まえ~

ご無沙汰していました.最近あまりupできていなかったので,ちょっと頑張って書いていこうと思っています,テーマはたまっているので!!
今回はpnc-bil meetingに参加してきましたので膵癌についてのお話を若干…

杏林大学の古瀬Drのお話を聞かせて頂きましたが,あまり膵癌治療に関わってこなかった私にとっては非常に勉強になる内容で,他のDrとのご討議も参考になりました.

膵癌

概要

生存率

やはり癌全体の中でも早期発見が非常に困難な癌であるということが前提にあるが,発見が早かった場合は予後は比較的良好で,3年生存率は
StageⅠ:43.4%,Ⅱ:51.7%,Ⅲ:42.9%となっている.
切除例の1/3年生存率:63.6/23.2%である.

しかしⅣ期になるとⅣa:18.6%,Ⅳb:5.8%

・唯一長期生存できる治療法は外科切除と考えられている.また可能であれば術後補助化学療法を行う.また癌死亡の第5位で年々増加傾向にあるのも特徴である.
・危険因子としては,喫煙・飲酒・肥満・糖尿病・慢性膵炎・家族歴などが挙げられている.

糖尿病との関連性

・急激な糖尿病の発症や悪化は精査適応と言われている.
今回のmeetingでも糖尿病患者112名の検討で,32%が短期間(半年程度)のHbA1c上昇での精査で膵癌を合併しているといった研究が発表されていました.
やはり短期間でのDM増悪は膵癌の発見契機としてよいのではないかと考えます.
また2cm以下でも30%程度が何らかの疼痛が初発ということもあり,当院でも背部痛,家族歴,糖尿病増悪などを指標としてEUSでの精査適応としています.

腫瘍マーカーの陽性率

・Span-1:76.4%
・CA19-9:69.4%
・DUPAN-2:59.2%
・CEA:34.8%
※CA19-9は日本人の10%がもつLewis A抗原陰性者では(-)となる.

治療

手術適応

・主に遠隔転移・腹腔動脈,上腸間膜動脈の脂肪層が明瞭・門脈,上腸間膜静脈が開存が鍵.
・StageⅣa以下.高度の局所進展,広範なリンパ節転移,遠隔転移は手術適応外となる.
・欧米ではCA浸潤がなく,肝動脈・胃十二指腸動脈浸潤,半周以下のSMA浸潤が境界例とされている.
・拡大リンパ節郭清は生存率への寄与はないと考えられている.

化学療法

術後補助化学療法

・5-FUを中心とした治療が多かったが,近年ではGEMが基本となっている.
・GEM単剤(1000mg/m2.1クール:週1回投与,4週目休薬)が基本となっている.

ここからはmeetingからも抜粋しながら話します.

2013年度版の膵癌ガイドライン

切除不能膵癌の1次治療

GEST studyも踏まえ適応が
GEM単剤→
・GEM
・GEM+エルロチニブ(GE療法)
・TS-1

転移を有する切除不能膵癌の1次治療

・FOLFIRINOX→first lineである.ACCORD II試験や国内でも第2相試験での有効性が証明されている.
65歳未満,PS0 or 1,好中球≧2000,PLT≧10万,下痢なし,UGT1A1遺伝子homo or double heteroが条件であるが
血球減少,特に好中球減少が多く中途減量例が多い.
・GEM+エルロチニブ(GE療法)→肺疾患がなければスタンダードな治療.
・GEM単剤
が推奨されている.

※GEM+TS-1(GS療法)については有効性が証明されなかったため推奨には入っていないが,癌性腹水例などには有効との見方もある.

局所進行膵癌

・GEM単剤
・TS-1のみが推奨されている.
※GEM VS GE療法については有意差なし.
※GEM VS GS療法については局所進行例のみの検討ではOSにGEM:11.8ヶ月 VS GS療法:16.4ヶ月と有意差が証明されておりGS療法については選択となる可能性がある.

ACCORD II試験(第3相試験)
遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対する1次治療としてFOLFIRINOX療法(オキサリプラチン+l-LV+CTP-11+5-FU)がGEM単剤に比べて全生存期間(OS)(11.1ヶ月VS 6.8ヶ月)および無増悪生存期間(PFS)(6.4ヶ月VS 3.3ヶ月)を有意に改善すると示された.

これを受け,国内第2相試験において日本人における有効性と安全性を検討した結果,ACCORD11試験と同様の抗腫瘍効果(奏効率:38.9%)ならびに忍容性が認められたため,FOLFIRINOXが国内で承認されるに至った.

GEST study
GEM+TS-1(GS療法)(中央値10.1ヵ月)がGEM群よりも優れていることは統計的に証明されず(HR=0.88, p=0.15)、TS-1群(中央値9.7ヵ月)はゲムシタビン群(中央値8.8ヵ月)に対して非劣性である事が示された(HR=0.96, p<0.001) 放射線療法 LAP-trialにてchemo VS chemo+radiationで変わりないことが証明されている.よって標準的治療のコンセンサスはないが,除痛には効果的であるという見解もある.

新時代の治療

現在進行中のstudyではGEM+nab-paclitaxcelの有効性が示されつつある.44%の有効性,PFS:5.6ヶ月,OS:9.1ヶ月との成績を収めつつある.

現在膵癌の化学療法はスタンダードが決まり,ある程度の方向性と奏効率を得ています.しかしながらやはり早期発見による治療に勝るものはないと考えるのは自然だと思います.
如何にしてリスクを拾い上げEUSによる早期診断をつけるかということがこれからの膵癌治療の鍵となると考えます.某病院では既に早期発見,治療の長期成績をエビデンスとして示すstudyが進んでいます.私もコンベックス型で全膵スクリーニングをしていますが,もっと精度とスピードを上げること,症例をエビデンスとして積み重ねることが重要であると実感しました.頑張ります!!
今日はこの辺りで…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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