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10㎜以下の早期膵癌を発見する技術と有用性~その1 膵癌拾い上げとスクリーニング~

お久しぶりです.最近は臨床に忙しくなかなかupできませんでした,すみません!
今日は現在私が力を入れて取り組んでいることについて話したいと思います.

それは微小膵癌発見への試みです.
膵癌の早期発見に対する試みが現在日本中で行われており,前回のJDDWでも非常に白熱した議論が交わされていました.

具体的にはどのような理論,そして方法で発見していけばよいのでしょうか?

早期発見の重要性

Stage別膵癌生存率は2007年のデータで以下のようになっています.

膵癌生存率

これをみれば,というより自明ですが明らかにTS1-a/b(腫瘍径20mm以下)の生存率は高い
つまり言うまでもないことですが,早期に発見することが非常に重要です.
しかしながら…
※現時点では約2/3がStageⅣで発見されているのが現状です.

ではどのようにして膵癌の拾い上げをしていけばよいのでしょうか?

リスクファクターからの患者選出とスクリーニング

膵癌の危険因子(ガイドライン2009より)

膵癌危険因子

※遺伝性膵癌症候群:家族性膵癌,遺伝性膵炎,家族性大腸腺腫症
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Lynch症候群),Peutz-Jeghers症候群
家族性異形多発母斑黒色腫症候群,遺伝性乳癌卵巣癌症候群

つまりこういった危険因子を複数持つ方については(特にDM初発・増悪・膵癌家族歴・IPMNに多い印象)積極的にスクリーニングを行う必要があると考えられます.

2013年ガイドラインでは以下のようになっています.

早期膵癌の拾い上げ

①腹痛・腰背部痛・黄疸・体重減少→膵癌を疑い検査を行う(grade B)
②糖尿病新発症や悪化→膵癌合併を疑い検査を行う(grade B)
③血中膵酵素測定→膵癌に特異的ではないが,早期診断に有用(grade B)
④腫瘍マーカー測定→膵癌診断やフォロー アップに勧められる(grade B)
→早期診断には有用でない.(grade C1)
⑤腹部超音波検査→膵癌のスクリーニングに勧められる(grade B)が
腫瘍検出率は低い.(grade C1)
※主膵管拡張や嚢胞が膵癌の間接所見として重要である(grade B)

☆このような所見が認められた場合はすみやかに次のステップに進む

操作のステップ

膵癌スクリーニング方法

ガイドラインの規定では上記のようになっています.当院ではEUSの微小病変に対するスクリーニング機能に注目して早い段階でのEUSスクリーニングをお勧めしています.

EUSについて

・超音波内視鏡は消化管のガスの影響を受けることが殆どなく
○感度86-100%,特異度58.3-97%,
○正診率93%と良好な成績である.
・FNA(Fine Needle Aspilation)の感度は54-95%,特異度は72-100%
・エビデンスの蓄積は待たれるが診断能力の高い検査である.

某大学では2000例近くの病変のうち,MDCT・MRI・EUSで検討した場合微小病変についてはEUSのみで発見された病変が1割程度あったとの報告もあります.

☆微小病変については当院でもEUSというモダリティーの有用性を実感しています.
微小病変画像

さらにEUSで微小病変を発見した場合,造影剤を併用しさらに診断能を上げることが可能です.

CH-EUS(ソナゾイド造影)

・CH-EUSは膵実質の潅流を可視化することができる新しい方法である.
・造影にはソナゾイドを使用(マイクロバブルによる血流イメージが得られる,呼気排泄)

微小病変ソナゾイド

こちらの造影検査でもかなりの確率で微小病変の鑑別ができます.
そちらについても参考文献がありますのでまたの機会に…

本日のまとめ

・リスクを踏まえたスクリーニングとEUSを含む各種検査で膵癌は早期発見が可能となってくる.
・コンベックス型EUSのみにより検出される微小病変も1割程度存在し,その診断能力は高いと考えられる.
・造影EUSによる血流評価,FNAによる組織診断は微小病変の診断に有用である.

といったところでしょうか.当院ではコンベックス型EUS,Aloka ProSound F75を採用しております.こちらでのスクリーニング法については次の機会に述べたいと思います.
それではまた…

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ryo

ryo

6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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