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内科医でも見るべき!皮膚疾患一覧

ご無沙汰してしまいました… 今回は消化器以外のアップをば.

(内科医が見逃してはいけない皮膚疾患 ASAHI Medicalより)
現在勤務している病院でも,たまに皮膚疾患は扱います.今回は内科医が見逃してはいけない皮膚疾患とのことで興味深い特集でしたので,ご紹介します.

薬疹

概要

薬疹は非常に頻度が高く,しばしば遭遇するが多くは原因薬剤の中止によって治癒する.しかしながら重症薬疹には注意が必要である.
Stevens-Jhonson症候群と中毒性表皮壊死症の鑑別が重要である.これらの重症薬疹は全身の皮膚が壊死に陥り,重症熱傷と同様の病態をとるため時に致死的である.

分類

即時型アレルギー反応

抗菌薬に代表される,薬剤による蕁麻疹や血管浮腫の多くは薬剤特異的IgE抗体を介する即時型アレルギー反応であり,進行すると呼吸器や消化管の障害を生じアナフィラキシーとなる.

MSAIDs不耐症

同じ蕁麻疹などでもアスピリンなどのNSAIDsによるものには非アレルギー性機序によるMSAIDs不耐症がある.これはシクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害によるもので,多くのCOX1阻害薬で誘発されるがCOX2阻害薬では生じにくい.アセトアミノフェンも比較的安全に使用できるが一部の患者では誘発症状がみられる.

特殊血管浮腫

薬理作用により重篤な血管浮腫を発症する原因薬としてACE阻害薬があげられる.稀ではあるが顔面・気道浮腫が急激に出現し窒息の危険を伴うため,注意が必要である.数年間の投与後に突然発症することもあり,注意が必要である.

播種状紅斑丘疹型薬疹

薬剤特異性T細胞による細胞性免疫反応が関与して生じる薬疹のうち,多くの薬剤で見られる播種状紅斑丘疹型薬疹ではCD4細胞の真皮上層の血管周囲への浸潤により表皮障害は見られず,表皮細胞間浮腫をきたし海綿状態となり掻痒感を伴う湿疹となる.
一方,表皮細胞の障害が強いStevens-Jhonson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)はCD8T細胞に加え,NK・NKT細胞の活性化によりさらに表皮障害が著しくなる.抗菌薬,抗てんかん薬,NSAIDs,アロプリノールなどが原因となることが多い.

薬疹誘発にはウイルス感染が関与するということが以前より推察されており,その代表的な例がEBウイルス感染に伴うアンピシリン疹が古くから知られている.
一方,抗てんかん薬やメキシレチンなどの薬剤投与後に発熱と全身の紅斑で発症する薬剤過敏症症候群(DIHS)では皮疹に遅れてHHV-6の再活性化が見られ,薬剤過敏症がウイルス再活性化の引き金になることが臓器障害などの重症化につながるといわれている.

最近ではHLA(ヒト白血球抗原)と特定の薬剤による薬疹発症との関連が明らかにされつつある.またSLEやシェーグレン症候群などの自己免疫性疾患やAIDS患者において薬疹の発症頻度が高い.

薬疹のタイミング

感染症に対して薬剤が投与された後,全身に紅斑が出現したときには感染症によるものか薬疹かの判断が問題となる.遅延型アレルギー性薬疹の場合,初めて投与された薬剤では感作成立までに期間が必要であり,投与後5日~2週間に発症することが多い.

固定薬疹

特定の薬剤使用の度に,口唇や外陰部などの皮膚粘膜移行部,口腔粘膜,四肢,顔面に灼熱感に続いて円形の紅斑を生じ,色素沈着を残す.炎症が著しいと中心部に水疱を生じる.単純ヘルペスとの鑑別が必要.

播種状紅斑丘疹型薬疹

発症初期には麻疹や風疹,EBウイルス感染や溶蓮菌感染症との鑑別が困難である.それぞれの感染症に特異的な粘膜疹やリンパ節腫脹,後日の抗体価検査などで鑑別する.

多形紅斑型薬疹

円形や環状,ターゲット状の紅斑が体幹,四肢に左右対称に出現する.初期には紅色小丘疹から始まるが徐々に拡大,癒合する.重症になると発熱を伴い,中央に水疱を認める.鑑別に溶連菌や単純ヘルペス,マイコプラズマなどの感染アレルギーによる多形紅斑があげられる.

重症薬疹を疑うポイントと特徴的所見

Stevens Jhonson Syndrome

重度の致死性,出血性粘膜症状を伴う多形紅斑であり,発熱とともに肝・腎障害,気道粘膜や消化管粘膜の障害などの内臓病変を伴うことがある.薬剤性が多いが,マイコプラズマ感染症でも生じる.
びらんなども体表面積の10%を超えない.初期症状でSJSを疑う所見としては,皮疹の拡大が急速であること,掻痒感より灼熱感や刺激感を訴えること,粘膜疹の存在または明らかな粘膜疹がなくても眼や口腔内の違和感を訴えるなどが挙げられる.
SJS症候群

TEN型薬疹

著名な表皮の壊死性障害をきたすものであり,表皮剥離や水疱が体表面積の10%以上のものをさす.
SJSから進展し,TENに至るものがほとんどであるが,突然の高熱と有痛性のびまん性紅斑で始まるものがあり,後者の方がより重篤である.敗血症や肺炎,DIC,消化管出血による死亡が見られ,現在でも20‐30%の死亡率である.
TEN型薬疹

DIHS

薬剤摂取開始2‐6週間後に高熱とともに全身の播種状紅斑丘疹が出現し,急速に進行し多くは紅皮状となる.また経過中に肝障害,リンパ節腫脹,異型リンパ球や高酸球増多などを伴う.
顔面浮腫が著しく,しばしば口囲に膿胞などを伴う.ウイルス性発疹との鑑別が必要.薬剤中止後も1週間以上遷延し,しばしば再燃する.4週間以内の再燃はHHV6の再活性,それ以降の再燃はCMVの再活性が関与する.
DIHS

AGEP

高熱と急速に拡大する紅斑上に小膿胞が多発する.多くの場合皮疹は頸部・腋・そけい部などより始まり,全身に拡大する.炎症所見の上昇も認める.細菌感染性の敗血症などとの鑑別が必要となる.

治療

SJS・TENの救命および視力障害などの後遺症の阻止には早期適切な治療が必要.
治療は皮疹の程度に加えて,粘膜疹や内臓病変の重症度を考慮して決定する必要があり,時期を逸しないステロイドパルス療法や血漿交換,免疫グロブリン療法が重要.

蕁麻疹

膨疹

概念

正しい診断が必要.蕁麻疹は真皮の浮腫である膨疹からなり,膨疹は24時間以内に跡形なく消失する皮疹と定義づけられていることから,1つの個疹に注目して問診すれば24時間以内に消失するものでなくてはならない.
つまり蕁麻疹は数カ月前から生じていても,1つの個疹について患者に詳細に問診することが重要となる.また抗ヒスタミン薬の正しい使用法を理解して治療する必要がある.
抗ヒスタミン薬は蕁麻疹が出たときのみ内服するのではなく,蕁麻疹が治まった後も数カ月内服してから中止するという基本スタンスが必要である.

痒みを伴う赤い発疹が突然生じる場合,まず蕁麻疹を考える.短時間で消失するあるいは変形することを確認したらまず蕁麻疹と判断してよい.

病態

皮膚肥満細胞の活性化に基づくヒスタミンなど種々の生理活性物質の遊離とそれによる真皮の浮腫と掻痒感である.これらの生理活性物質の作用は一過性であり,このため膨疹や血管性浮腫は痕を残さず消失する.
肥満細胞の活性化の要因と機序は様々でアレルゲン特異的IgEを介した即時アレルギー機序が最も知られているが,物理的刺激のほか,薬物による刺激など要因は多彩である.特発性蕁麻疹(急性・慢性蕁麻疹)の頻度が最も高く,物理的蕁麻疹,コリン性蕁麻疹,アレルギー性蕁麻疹が続いて多い・蕁麻疹の診療に関しては病型判別とそれぞれ個別の対応が必要となる.

皮膚描記法の活用

前腕をペン軸で軽く擦過,線状の膨疹が誘発されれば物理性蕁麻疹の1病型であり最も頻度の高い機械性蕁麻疹と診断される.

膨疹の鑑別

問診により膨疹が連日出現することが確認できた場合,特発性蕁麻疹の可能性が高い4週間で急性,慢性を区別する.
散発性に発症する蕁麻疹に関しては呼吸器症状や腹部症状などを伴う場合はアレルギー性蕁麻疹の可能性が高いためプリックテストや血中抗原特異的IgE抗体検査が有用であるが,皮膚科専門医への紹介が必要.
何らかの誘因がある場合はアレルギー性蕁麻疹,食物依存性運動誘発アナフィラキシー,接触蕁麻疹,物理性蕁麻疹,コリン・アスピリン性蕁麻疹などの可能性がある.

特殊膨疹

口唇や眼瞼浮腫をきたす血管浮腫症例で忘れてはならないのがC1インヒビター欠損症である.
極めて稀な病態であるが,気道浮腫を来たすと死亡の危険性もあり注意が必要である.
その際補体値を確認する必要がある.C3正常値,C4検出限界以下,CH50検出限界以下の所見を示す.
補体値が低下している場合はC1インヒビター活性を定量し,低下していれば上記と診断できる.
気道閉塞が危惧される場合,C1インアクチベータの投与が必要であり,抗ヒスタミン薬・ステロイド・エピネフリンは無効である.
補体値に異常が見られない場合,前述のACE阻害薬のチェックが必要である.

治療

第一選択

〇抗ヒスタミン薬
鎮静作用の少ない
・第2世代H1ブロッカー:フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ120㎎2×)
            オロパタジン(アレロック10㎎2×)
            エピナスチン(アレジオン20㎎1×)などを選択する.
特発性蕁麻疹に対するこれらの効果は50‐70%である.持続時間が長い,または半日以上消失しない場合は
・H2受容体拮抗薬(ガスター40㎎2×)
・ロイコトリエン拮抗薬
・少量ステロイド(最大10㎎/日程度)を併用することがガイドラインでは推奨されている.膨疹形成が抑制されれば,数週間から数ヶ月かけて減量する.

※セレスタミンはしばしば使用されるが,鎮静作用の強い抗ヒスタミン薬であり,副作用の観点から蕁麻疹の治療には避けるべきである.
※物理性蕁麻疹も抗ヒスタミン薬に抵抗性があることが多く,H2ブロッカー併用が推奨されているが,保険適用はない.

帯状疱疹

帯状疱疹

概念

典型例では片側の支配神経領域に一致した疼痛を伴う皮疹が見られる.出現数日前から疼痛が出現する例もある.現実的な対応としては皮疹出現を待って治療を開始する.
皮膚病変が支配神経領域内に占める割合で
・軽症(30%未満)
・中等症(30‐70%)
・重症(70%以上)と判定する.また免疫抑制患者の帯状疱疹では水疱の新生が継続したり,大きい個疹が見られる.また治癒が遷延すると深い潰瘍形成を来たす.

合併症

眼科:結膜炎・角膜炎・ぶどう膜炎・網膜炎などがあり視力低下に注意が必要.
耳鼻科:ラムゼイハント症候群(耳介の帯状疱疹・顔面神経麻痺・耳鳴り難聴めまいなどの耳鼻科症状)
中枢神経系障害:脳髄膜炎や脊髄炎に注意が必要.

治療

抗ヘルペスウイルス薬
軽症から中等症⇒内服
重症,免疫低下※⇒入院・点滴治療が必要.

※免疫低下,皮疹重症や高度の疼痛を有するなど帯状疱疹後神経痛の可能性が高いもの
三叉神経第一枝領域の帯状疱疹,運動神経麻痺を伴う症例
発熱・頭痛・嘔吐などの中枢神経合併症を疑う症例.

現在承認されている抗ヘルペスウイルス薬
・バラシクロビル(バルトレックス3000㎎3×)
・アシクロビル(ゾビラックス)
・ファムシクロビル(ファムビル)の3種類がある.
バラシクロビル・ファムシクロビルは高い血中濃度が得られ,抗ウイルス作用を発揮する上で効果的である.帯状疱疹における治療としては病初期(72h以内)から十分な期間投薬を行う,そして必要に応じて減薬が必要.最低でも7日は投薬する.

免疫低下例に対しては延長投与を検討する.腎機能低下については適宜減量が必要.
また外用薬のエビデンスはない.

急性期の疼痛管理

アセトアミノフェン(カロナール)投与が基本的で1回最大1000mg,1日最大4000mg使用可能

診断は比較的容易であり,治療法も抗ウイルス薬の内服あるいは静注なので理解しやすいが,
帯状疱疹後神経痛に対する対処法については新しい治療法を押さえておく必要がある.

疥癬

概要

比較的よく見る皮膚疾患であり,ヒゼンダニによる感染症.
診断が遅れると施設内・病院内に蔓延することがあるため,内科医であっても疥癬を疑う技量が必要.
ポイントは若年者であれば,指の股の皮疹,陰嚢の結節状皮疹が特徴的であるが,高齢者になると疥癬の特徴的皮疹は見られず,診断が困難になる可能性がある.
高齢者でステロイド外用に反応しない皮疹については疥癬が鑑別に挙がるということを知っておく必要がある.
ヒゼンダニの皮膚表面の角層に寄生し起こる病態.ヒトヒト感染しか認めない.一見すると通常の湿疹と変わらないため,誤診される場合が多い.そのためステロイド外用などではさらに悪化する場合がある.

特徴的所見

疥癬トンネル主に指間に見られる.
線状で5mm程度の皮疹や発赤結節,小丘疹が特徴的.
集団生活内での接触確認などが必要.確定診断は真菌検査と同様にKOHで溶かして観察する.

治療

・内服:イベルメクチン(ストロメクトール)
・外用薬:クロタミトン(オイラックス)数週間の継続治療が必要である.

といったところのようです.膨疹・帯状疱疹・薬疹などは内科外来でも遭遇することがあるので注意が必要ですね…
今日はこのあたりで

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ryo

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6年目消化器・内視鏡医師です。 日々の経験や症例を紹介しながら役に立った書籍や論文を紹介していこうと思っています。 まだまだ若輩者ですので色々とアドバイスなど頂ければありがたいです。 また私の好きな小説や趣味の世界についても紹介しようと思っていますので、こちらも気が向いたら立ち寄って下さい。

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